退院の朝
私は水音をスリングで抱いて
そのスタッフパスをもって
ライブ会場へ向った
途中なぜか崖に階段のついたところを
てくてくと登り
上がったところは
公園のアスレチックだったので
障害物に苦労しながら気をつけて下りる
やっと到着して
会場内は音が凄いだろうから と
子供用のヘッドフォンを受付でもらおうと尋ねると
スリングて寝てたはずの水音がいない
大慌てで探す 探す
スタッフさんにも声をかけて探してもらう
会場アナウンスもかけてもらう
ひとりのスタッフさんが
鳥と喋れると言い出して
鳥が水音ちゃんは大丈夫.と言ってるよと
教えてくれるけど
水音は鳥じゃありません!人間の子供です!
と わたしは叫ぶ
走り回って 探して
さっきのアスレチックまで戻ると
ものすごい揺れがきて 津波が襲ってきた
アスレチックの最上部まで上って
水がすぐそこまで来て
水音. 水音. 水音.
水音は見つからない
ものすごい後悔が襲ってくる
どうして あのとき!
崖を登ってきたシーンを思い出す
で
夢から覚めた
まだ病院のベッドの上でほっとする
わたし
こういう心配や不安や責任を
母となったその日からずっと抱え続けるんだな
水音を目を離してどこかに行ったりなんか
絶対しない
夢のはなし